あなたの知性や品格をクラスアップさせるもクラスダウンさせるも、あなた次第!「バイト言葉」に「大名言葉」、うっかり使っていませんか?

 「バイト言葉(バイト敬語)」ってご存知でしょうか?ファミリーレストランやコンビニエンスストアのあたまをとって「ファミコン敬語」とも呼ばれるそうです。一時期、マスコミにもよく取り上げられていたので最近少し減ってきたかな?なんていう印象もあったのですが、むしろあまりにもしょっちゅう耳にしているため、すでに馴染んできているなんて恐ろしいことがおこっているのかもしれません。そこで、あらためてもう一度代表的な「バイト言葉」と「大名言葉」を整理しておきます。

「お水のほうはいくつお持ちしましょうか?」・・・お水のほう?

 この 名刺 + の + ほう 使う人、ものすごく多いと思いませんか?もしかしたら、なにがダメ?と思うかたもいらっしゃるかもしれませんね。

 そもそも「ほう」というのは、
1)方向や方角を指し示す時
2)いくつか選択肢がある中のひとつ
3)話題のものをぼかす   という、3つの用法があるわけですが。
 「お水がいくつ必要か」をたずねるときに、方向や方角を指す必要もなく、あくまでも水の数なので選択肢も関係なく、もちろんぼかすこともありません。よって、「お水は(を)、いくつお持ちしましょうか?」が正解なわけです。

 とすると、「その件は私のほうで担当させていただきます。」これも変だとお分かりいただけますよね。

 「将来は音楽のほうの仕事をしたいと思っています」この「ほう」はどうでしょう?「音楽関係の」仕事をしたいと言っているわけですので、プレーヤーかもしれませんし、裏方かもしれません。ですから、対象をぼかしているということで、これは正解。

 なんでもかんでも、ほうほう言わないようにしましょう。

「よろしかったでしょうか?」・・・なぜ過去形

 なぜ、このフレーズがさかんにつかわれるようになったのでしょう?諸説ありますが、面白いのは北海道の方言というもの。北海道や東北地方の一部では、過去形の「◯◯でした」を用いることで丁寧さ、または婉曲さを表す方言が存在するそうです。
 とはいえ、基本的には誤用です。

 「よい」の丁寧語が「よろしい」。「よろしい」を過去形にしたものが「よろしかった」です。例えば、注文を聞いた際に「注文は以上でよろしかったでしょうか?」となると、確認すべき前提がない状態なのに過去形になっているのが違和感の正体です。ですので、何の前提もない状態で「よろしいでしょうか」を使うと不自然なのです。

 とすると、過去の行為を確認するためならば、間違いではないということです。例えば、昨日打ち合わせ日程を決めたけれど、再度確認したい時などであれば、「打ち合わせの日程は、●月●日の●時からでよろしかったでしょうか」で正解です。

 とはいえ、基本的に「よろしかったでしょうか」の正解は「よろしいでしょうか」です。意味は「問題ないでしょうか」ですので、相手の意思を確認し、同意や許可を求める際に使います。

 自分のなかで今一度、「よろしかったでしょうか」を使っていないか確認してみてください。

「おつりは1200円になります」・・・1200円になるってなに?!

 この「なります」を使うかた、多いですよね〜!最近とくに気になります。
 料理番組を見ていれば「こちらはバナナになります。」洋服屋さんでは「先ほどの色違いで、こちらが赤色になります。」居酒屋さんでは「枝豆になりま〜す。」

 「なります」「なります」の大洪水で、あまりにも聞きすぎるせいか、もはやそれが正しいのではないかと思えてきました。

 けれど「なります」とは「何かから何かになる。」という意味。
 ここでは「1200円なには計算した結果です」という結果としての意味にも取れますが、「です」と同義で「なります」が使われているので、間違いとまでは言いませんが不必要な言い回し、になります(笑)。

 「おつりは1200円です」のほうが、すっきりすると思いませんか?

「30分ほどお待ちいただく形になります」・・・なんの

 これも先ほどの「なります」を使っていますが、その前に謎の「形」がくっついています。「なります」ほどではないけれど、わりとよく聞く言い回しですよね。

 お客様をお待たせする、という相手にとって不都合な事情を伝える際に、「お待ちいただきます」や「お待ちいただいております」のような直接的な表現ではなく、間接的な表現にしようとしたためだと考えられますが・・・。

 そんな時こそ「クッション言葉」です!
 この場合だと、「大変申し訳ございませんが」といったクッションをおいた後に「30分ほどお待ちいただきます」と言えば、十分にこちらの「お待たせして申し訳ない」という気持ちは伝わります。

では!せっかくなので「クッション言葉」にどんなものがあるか、見ていきましょう!
最初は、何かをお願いするシーンに使える「クッション言葉」です

  • 恐れ入りますが
  • お手数をおかけしますが
  • ご面倒でなければ
  • ご都合がよろしければ
  • お忙しいところ申し訳ございませんが

    どうです?職場の先輩に話を聞いてもらいたいときなど、こういった「クッション」を挟んでお願いすれば、あなたの気持ちはしっかりと届くはずです。

次は、上とは逆に、何かを頼まれた時に断る時のクッション言葉です

  • あいにくですが
  • せっかくですが
  • 残念ながら
  • (お断りするのは)心苦しいのですが
  • ご期待に添えず大変申し訳ございませんが(〜お断りさせていただきます)
  • ありがたいお話ではございますが(〜ご辞退させていただきます)
  • ご意向に添えず(〜申し訳ございません)
  • 私どもの力不足で申し訳ございませんが(〜ご了承ください)

    申し訳なさそうなあなたの顔まで浮かんでくるようです。何かを依頼するよりも、むしろ断る時の方がパワーを使うという時も多々あります。そう言う時こそ、このクッション言葉に助けてもらって、ちゃんとこちらの意図を先方に届けましょう。

ビジネスでよく使うクッション言葉(ビジネス枕詞)にはこんなのもありますよ

  • おかげさまで ※このフレーズは日常でもよく使いますね
  • ご心配をおかけいたしますが
  • お話中、大変恐縮ですが
  • 大変申し訳ないのですが/大変申し上げにくいのですが
  • 誠に勝手ながら

    「おかげさまで」。このフレーズはとくによく使いますね。人から受けた助力や親切に対して感謝の意をこめていう言葉で、漢字では御陰様です。神仏などからの加護も意味としているところから、様がつくんですね。ちなみに、「おかげさまです」は、間違いですので気をつけて!

相手に対し、そうじゃなくてこうしてほしい!とお願いする時、ありますよね。そんな時のクッション言葉は・・・

  • 私どもの説明不足で申し訳ございませんが
  • こちらの言葉が足りずに恐縮ですが
  • 説明が十分ではなかったかもしれませんが

    相手がお客様や目上のかたの場合、ざっくばらんに「あ、違う違う!こうして欲しかったのよ」とはなかなか言えませんよね。もちろん、こちらに落ち度があってもなくても、こういったクッションを挟んで改善を依頼することで、相手の顔も立てつつ、要求を伝えることができますのでぜひ使ってください。

上の「お願いする時」のクッション言葉にも少し似てきますが、
人に何かを尋ねたい時に挟むといいのが・・・

  • お伺いしたいことがあるのですが(または、教えていただきたいことがあるのですが)。
  • 失礼ですが
  • ご迷惑でなければ
  • 差し支えなければ

    大人になって社会に出れば、他人が自分に何かをしてくれるのは、当たり前ではありません。それでも、何か分からないことがあったとき、教えを乞わず知ったかぶりをして通りすぎて、いい結果になることはなかなかありません。「聞くは一時の恥」と言うじゃありませんか。ですから、こういうクッションを入れて円滑に、どんどんコミュニケーションをとっていきましょう!

ここまで、こちらが何かをお願いする時のクッション言葉を挙げてきましたが、
最後は、こちら側から相手に手助けを申し入れる時のクッション言葉です。

  • もしよろしければ(お手伝いしましょうか)
  • お力になれることがあれば(遠慮なくお申し付けください)
  • 私にできることがあれば(なんなりといたします)

    相手の立場を慮り、顔をたてつつ助力を申し出るのは、大人ならではの作法です。こういったクッションが自然に挟めるようになればかなりの上級者!

「なるほどですね!」丁寧に言おうとしたのかもしれないけれど、それ残念!

 相槌としてよく使われる「なるほど」という言葉は副詞です。敬語としての役割はない言葉で、目上の方に使うと見下しているように感じられることから「ですね」をつけてしまうのかもしれませんが、残念ながらこれは誤りです。

では、正しい相槌って?

  • 「そうですね」
    丁寧語ではありますが、尊敬語ではないので、お客様や上司、目上の方に使う場合は適しません。
  • 「はい」
    シンプルで正しい敬語です。「なるほどなるほど」などと使うより、はるかに相手に不快感を与えません。
  • 「おっしゃる通りです」
    お客様や目上の方と話す時に、話を理解し納得した場合に一番ふさわしい相槌です。

勘違いして使っていませんか?それ、大名言葉です!

 大名言葉とは、立場が上の人がしたの人にだけ使うことが許されている言葉です。代表的なものを2つ紹介します!

  • ご苦労さまでした
    通常、部下など目下の人に「苦労をかけてしまった」と、ねぎらいの言葉として使います。ですので、間違っても部下から上司に対し「ご苦労さまでした」などと使ってはいけません。どこの殿様か!となってしまいます。正しくは「お疲れ様でした」です。
    そういう意味で、仲間同士でも「お疲れ様でした」がいいですね。
  • お世話様です
    目上の方や外部の方に対しては「お世話になりました」「お世話をおかけしてしまって申し訳ございません」が正解です。感謝やお詫びの気持ちが伝わる表現を心がけましょう!

どうでしたか?違和感はあるけど聞き流しているといった方、多いのではないでしょうか。私もそのうちの1人です。けれど、美しい日本語は、どこまでも相手を思いやる心から生まれていますので、まずは、「自分は気をつけよう!」そこからはじめるのはいかがでしょうか・・・。

 

 

 

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