鯛焼きの天然モノと養殖モノの違いって?!

亀の子焼きになってたかも?!
お目出度い魚の代名詞、鯛。その縁起物をデザインした「たい焼き」は、今川焼から派生したもので明治時代後期の東京で、浪花屋総本店の神戸清次郎さんが作りだし、広めたそうです。
当初亀の子を模した「亀の子焼き」が先に売り出されましたが、売上はさっぱり伸びず、試行錯誤を重ね、当時、庶民の食卓にはなかなかのぼることのなかった鯛をモチーフに変えて売り出したところ、今でいう「バズった」状態になったといいます。もしかして、亀の子焼きが流行っていたら、今、私たちも亀の子焼きを食べていたのかもしれませんね。
たい焼きの「天然モノ」と「養殖モノ」って何が違うの?
さて。そんなたい焼きには「天然モノ」と「養殖モノ」という言い方があるのをご存じでしょうか?
魚の話ではありません。あの、甘くて香ばしいたい焼きの焼き方に関する呼び名なんです。

◆ 天然モノのたい焼き
「天然モノ」は、一匹ずつ専用の型で焼かれるたい焼きのこと。「一丁焼き」とも呼ばれますね。
諸説あり、厳密な定義はありませんが、2002年にカメラマンの宮嶋康彦さん『たい焼の魚拓』という本の中で、一丁焼きのたい焼きを「天然もののたい焼き」と表現され、共感したたい焼き好きの中で定着したとされているそうです。
作り方は、鋳物の焼き型を直火で加熱し、生地とあんこを入れて手作業でひとつひとつ丁寧に焼き上げます。
まるで職人技のような手間ひまがかかるため、お店によっては「一日○○個限定」なんてことも。
特徴は、外はカリッと香ばしく、中はふっくら。焼きムラがある分、それぞれのたい焼きに個性があるのも魅力です。

◆ 養殖モノのたい焼き
一方の「養殖モノ」は、複数匹を一度に焼ける連続焼き機(通称:鉄板)を使って作られたもの。
スーパーやチェーン店などでよく見かけるのはこちらですね。
均一に火が通るため、焼き色や形が揃っていて、量産に向いています。
天然モノに比べて手間が少なく、価格も比較的リーズナブル。ふんわりした食感が特徴です。
まとめ:どちらもそれぞれの良さがある!
「天然モノ」と聞くと、なんとなく高級感がありますが、たい焼きの場合もその通り。
ただし、養殖モノには安定した美味しさと、手軽に楽しめるという魅力があります。
どちらが良い、というよりは、「今日はどっちのたい焼きを食べたい気分かな?」で選ぶのが正解かもしれませんね。
対して養殖モノの特徴とは、やはり、一度にたくさん焼ける、今ではおなじみのスタイル。
ところで、たい焼きに粒あんが多い理由ご存じですか?
1. 昔ながらの風味・食感が生きるから
たい焼きは明治時代から親しまれてきた和菓子。その時代、あんこと言えば粒あんが主流でした。
つぶつぶした豆の食感や香りが、素朴なたい焼き生地と相性が良く、今でも「たい焼きといえば粒あん」という印象が定着しています。ちなみにあの国民的ヒーロー、我らが○○パンマンの中身も粒あんだそうですよ。
2. 焼いたときに水分が飛びにくい
こしあんは水分が多めで、焼いている間に生地に染み込みやすいのが難点。その点、粒あんは豆の形が残っているため水分が控えめで、生地と餡がべちゃっとならず、ちょうどいい仕上がりになります。
3. 見た目とボリューム感の演出
粒あんは、見た目に「あんこがぎっしり詰まってる!」とわかりやすく、満足感が出やすいんです。
お客さんにとっても、「しっかりあんこが入っていてお得」と感じやすいポイントになります。
ちなみに…こしあん派も増えてます
近年は「こしあん派」の人も多く、お店によっては選べるようにしているところも増えてきました。
さらには、カスタードやチョコレート、白あんベースのアレンジたい焼きも人気ですね。
結論:粒あんは“たい焼きらしさ”の象徴!
たい焼きに粒あんが多いのは、伝統・焼き上がりの相性・見た目の美味しさ、すべてをバランスよく満たしてくれるからなんです。ベストセラーには、ちゃんとワケがあるんですね。