もやしの安さの秘密!もやしは工業生産物?!みんなの味方、もやしについて考えてみた。

 スーパーに並ぶ「もやし」。他の野菜に比べ、ひときわその「安さ」が光りますよね。一昔前は「もやしっ子」などといって少々ネガティブなイメージもあり、なんとなく栄養もあまりないように思われていましたが、どっこい(古い?)、今やその栄養価も見直され、しかも気候等の影響で他の野菜が高騰しても、いつだって安定して安いとくれば、文句なし私たち庶民の味方。

 今回はそんな「もやし」について考えてみたいと思います。

そもそも「もやし」とは?

 もやしは「萌やす」。発芽させるという意味が由来です。それもそのはず、もやしは発芽野菜。英語ではスプラウトですね。
 ひと口にスプラウトといっても、種から根を伸ばしていくかいわれ大根などのグループと、頭部にあたる部分に種をつけた状態で伸びていく、マメ科のもやしグループに分けられます。
 この両者、かいわれ大根グループは「光」を当てて栽培するのに対し、一般的に暗室で栽培されるもやしグループというふうに、栽培方法も大きく違います。光を必要としないことから、なんと潜水艦の中で栽培されたという話もあります。
 現在のように、食用を意識したモヤシは、1850年以降、その栽培方法が江戸に伝わり広まったものといわれていますが、それまでは薬用として珍重され、贅沢品として扱われていたことも。今では考えられませんね。

もやしの栄養が知りたい!

 豆を発芽させたものということで、多くのタンパク質が含まれているのが特徴ですが、そのほか発芽によって鉄分やカルシウム、カリウム、ビタミンB群にC、それに食物繊維が含まれる他、アミノ酸の含有量も増加します。

 とくに注目すべきが、アスパラギン酸という栄養素。これはアスパラガスに多く含まれていることで有名な栄養で、疲労回復や代謝を促す効果があり、スタミナアップにも有効。もやしっ子なんてネガティブなイメージのあるあだ名からは想像できませんね。
 そのモリモリパワーのアスパラギン酸が、なんとアスパラガスの2倍も含まれているとは驚きです。もう、アスパラギン酸ではなく、モヤシギン酸と呼びたいくらい。

 加えて、リラックス効果のあるギャバ(GABA)も含まれています。ちなみに気になるカロリーは、100グラムあたりおよそ14キロカロリー。よく見かけるタイプのもやしが1袋200〜250グラムくらいですから、栄養もあってカロリーが低いとくれば、ダイエットにも効果抜群ですね。

生産者さん泣かせの低価格の秘密とは

 私たちにとってはありがたい、「安さ」の秘密の大部分は栽培方法にあります。下の2つの条件をご覧ください。

  1. 土や太陽光を必要としないこと
    もやしは発芽野菜です。もととなる豆の栄養を使って発芽するため、土も肥料も必要ありません。「水」があればいいのです。太陽光もいらないので、その条件さえクリアすれば、環境に左右されることなく栽培することができます。出荷も安定し、他の野菜と比べ肥料代などのコストも低くおさえられるため、その分小売価格は低くなります。
  2. 出荷までがとにかく早い!!!
    もやしは、発芽からおよそ1週間程度で出荷ができる状態になります。野菜によって収穫日数はそれぞれですが、それでも1週間というのは破格のスピード。だからこそ、回転効率がよく、また環境に左右されないため、その栽培料も計画的に管理できます。

 近年では、もやしの栽培もオートメーション化され、ますます効率的に大量の生産ができるようになっています。生産者さんにとっては皮肉なことに、そのためもあって昔よりも価格が下がっているという、とても珍しい野菜でもあります。
 大量生産が可能で、安定した供給ができるもやしは、スーパーなどで安売りの対象にされがちですが、小売価格の低さに反比例するように原料となる豆などの生産コストは時代とともにあがっています。そのため、経営難から廃業する生産者さんも増えているんだとか・・・。

もやしを食べる時に気をつけることは?

 もやし、ちゃんと洗って火を通して食べてますか?
 土とかがついていないので、ついつい適当にざっと水をかけるだけ。これ、ダメです。

 もやしは暗くて太陽光のない場所で栽培されるため、日光による殺菌作用がなく細菌が繁殖しやすい食品といわれています。もちろん、きちんと管理された環境で生産されている食品ですが、食べる時には、「菌が繁殖しやすい」ということを意識してきちんと洗いましょう。

もやしの保存方法、どうすればいい?

 もやしは水分が多く、また発芽中の新芽なので、他の野菜と比べて劣化がとても早いお野菜。油断してもしなくても、ほっておくとすぐに傷んでしまう、デリケートなお野菜です。とはいえ、1袋、使いきれなかった!いつも以上に安かったから、つい余分に買ってしまった!ということ、ありますよね。そんなとき、保存は↓こんなふうにしておくとよさそうです。

  1. 湯がいて保存
    沸騰したお湯に入れ、10〜15秒。ザルなどでお湯をこして冷ましてから水気をよく切って冷蔵庫で保存。ちなみに大豆もやしの場合は湯がき時間は3分以上で。
  2. 冷凍して保存
    よく洗ったあと、水気をしっかりと取ってから保存袋にいれて冷凍庫へ。保存袋の空気はしっかりと抜いてください。使う時は解凍せずにそのまま調理するのがおすすめです。
  3. 水にひたして保存
    容器に、もやしがしっかりとひたるまで水を入れて、冷蔵庫へ。このとき、毎日お水を替えることを忘れないように!せっかくの努力が水のあわになります。ただし、水溶性の栄養素が流れ出てしまう可能性もありますので、個人的にはお勧めしない保存法です。

ひげ根のあるなしの「是非」

 ひげ根、とってますか?
 個人的には、同じ動作を繰り返していると、脳がリラックスしてストレスが緩和されるので嫌いではないのですが、なにしろ時間がかかるので、急いで食事を準備しないといけない時など、ついつい割愛したくなりますよね〜。しますよね〜。というわけでこの「ひげ根」のあるなしの是非を考えてみましょう!

ひげ根ありひげ根なし
メリットひげ根に含まれる栄養をあまさず採れる
作業をしなくていい
食べた時の食感が良い(ヒゲが口に残らない)
匂いが少なくなる
見た目がよい
デメリットヒゲが口に残って歯につまったりする
見た目がよくない
匂いが気になる場合がある
作業が面倒
ひげ根に含まれる栄養が採れない

 食感や見た目がアップするため、飲食店さんなどではきちんとひげ根をとってらっしゃると思いますが、家庭ではそうもいかないことも。そんな時は無理せず、ひげ根に含まれる栄養を余すことなくいただいている!ということに注目しましょう。実際、食物繊維などは本体よりもひげ根の方に多く含まれています。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。シャキシャキ食感が美味しく、いろんなお料理と相性のいい「もやし」の秘密、いかがでしたでしょうか。栄養豊富でカロリーも低い、そんな魅力たっぷりのもやしを、これからもどんどん活用してください!

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